本作が描くのは、記号化された友情や恋愛では到底括れない、剥き出しの人間関係です。言葉にすれば零れ落ちてしまうような繊細な感情の機微を、圧倒的なリアリズムで捉えた演出が、観る者の胸を強く締め付けます。単なる青春群像劇に留まらない、他者と深く関わることの痛みと救いが、画面の端々にまで刻まれています。
藤野涼子、青木柚ら若手実力派が見せる、嘘のない眼差しと呼吸。そこに芸人としてのパブリックイメージを覆す兼近大樹の静かな熱演が加わり、物語は唯一無二の深みに到達しました。誰かを愛し、守ろうとするほどに歪んでいく運命。その果てにある静謐な情景は、正解のない現代を生きる私たちの心に、言葉を超えた重厚な問いを投げかけてきます。