激動のロシア革命期を舞台に、一人の女性の過酷な運命を写実的な筆致で描き出した本作は、歴史の荒波に翻弄される人間の尊厳を問う衝撃的な野心作です。泥臭くも力強い映像美が、国家という巨大な力に蹂躙される民衆の息遣いを生々しく伝え、観る者の魂を激しく揺さぶります。
主演のダリヤ・エカマソワが見せる、沈黙の演技こそが最大の白眉です。理不尽に耐え抜く彼女の瞳には、絶望の淵でも消えない生の執着が宿っています。政治の暴力に対し、ただ生き抜くことで抵抗する個人の強さを提示する、極めて重厚な人間讃歌に仕上がっています。