あらすじ
北海道出身の加治山平七(榎木孝明)は、東京で活動写真と出会う。香木真之助(辰巳琢郎)や小島はる(樋口可南子)らの仲間たちと共に、切磋琢磨しながら映画作りにまい進する。のちに映画監督になった平七だが、映画はトーキーへと移り変わり、時代の波に翻弄される。大正から昭和の初めにかけて、映像文化の誕生に情熱を注いだ青年たちの夢、真摯(しんし)な輝きや絶大なエネルギーを、笑いを基調に描いた作品。
作品考察・見どころ
本作は、大人の情愛が孕む「揺らぎ」を耽美的に描き出した至高のドラマです。榎木孝明が放つ静謐な色気と辰巳琢郎の熱情、そして樋口可南子が体現する脆くも美しい官能性は、観る者の魂を激しく翻弄します。言葉に頼らずとも、視線の交錯だけで募る想いを物語るキャスト陣の圧倒的な演技力は、まさに白眉と言えるでしょう。
渡辺淳一の原作が持つ緻密な心理描写を、映像ならではの瑞々しい色彩と演出で昇華させている点が醍醐味です。文字による想像を超え、俳優の吐息や肌の温度感までもが伝わるリアリティは、映像化でこそ到達できた極致。禁断の愛の果てにある孤独と恍惚を気高く描き切った、極上の映像文学として心に深く突き刺さります。
ドラマ・アニメ化された映像作品と原作・関連本と読み比べて、オリジナルならではの違いや描かれなかった裏設定、より深い世界観を独自の視点から楽しみましょう。