本作は、アメリカという国家の裏側で渦巻く人間の欲望を、壮大な産業史として描き出す比類なきドキュドラマです。酒、博打、そして性。一般的に忌避される「背徳」がいかにして巨大な富を生み、近代国家の骨格を形作ったのか。その皮肉なパラドックスを鋭く突く視座こそが、本作の真骨頂と言えるでしょう。
キャスト陣の熱演が、歴史の資料を血の通った人間ドラマへと昇華させています。欲望を原動力に不可能を可能にする開拓者たちの野心と葛藤が、重厚な映像美によって肌に触れるような臨場感で迫ります。正義や道徳の影に隠れた「人間の本質」を抉り出す演出は、観る者の価値観を激しく揺さぶる強烈な説得力に満ちています。