1960年代の理想的家庭像への強烈なカウンターとして誕生した本作は、不気味さと気品が同居する唯一無二の世界観を提示しました。チャールズ・アダムスの風刺画を源流としながら、映像化によって「家族の情熱的な絆」に血を通わせた点が白眉です。ジョン・アスティンとキャロリン・ジョーンズが体現する妖艶で献身的な夫婦愛は、異端であることを誇りとする彼らの高潔さを鮮烈に描き出しています。
原作のシュールな毒気を、映像独自のユーモアで昇華させた演出は見事です。世間の「普通」を軽やかに笑い飛ばし、独自の美学を貫く一家の姿は、現代の観客にも強烈な解放感を与えてくれます。怪奇的な意匠の裏側に、偏見のない純粋な人間愛が息づいていることこそが、本作が不朽の名作として愛され続ける真の理由と言えるでしょう。