本作の最大の魅力は、スパイもの特有の緊迫感と、軽妙なユーモアが絶妙に同居する多層的なドラマツルギーにあります。主演の劉小鋒が見せる、軟弱な知識人を装いながらも内に鋭利な知性を秘めた「二面性」の演技は圧巻で、観る者を欺き、翻弄し続ける心理戦の醍醐味を存分に味わわせてくれます。
極限状態においても失われない人間味や、理想のために正体を偽り続ける孤独な魂の葛藤は、単なる歴史劇を超えた普遍的な感動を呼び起こします。重厚な時代背景の中で、登場人物たちの個性が火花を散らすスリリングな演出こそが、本作を類まれなエンターテインメントへと昇華させているのです。