相棒の大統領候補が暗殺され、大統領選を前にひとり残される宗教指導者。一躍、有力候補となった彼がチャンスをつかもうとするなか、事件の捜査が進んでいきます。
本作の真髄は、信仰という純粋な隠れ蓑を纏った権力への渇望が、静かに、しかし確実に社会を侵食していく様を冷徹に描き出した点にあります。主演のディエゴ・ペレッティが見せる、聖職者としての慈愛と野心家の冷酷さが同居する繊細な演技は圧巻であり、観る者の倫理観を激しく揺さぶる圧倒的な説得力を放っています。 権力闘争の裏側に潜む人間の業と、組織の闇を暴き出す重厚な演出は、単なるサスペンスの枠を超えた芸術的な深みを持っています。現代社会における正義や真実の不確かさを鋭く突きつける本作は、一度足を踏み入れると逃れられない緊張感に満ちており、映像作品でしか成し得ない視覚的な緊迫感で観客を最後まで圧倒し続けます。
監督・制作: Claudia Piñeiro / Marcelo Piñeyro
制作会社: K & S Films