本作の魅力は、歴史の激流を単なる権力争いではなく、理想と情熱がぶつかり合う重厚な人間ドラマとして描き切った点にあります。圧倒的なスケールで再現された美術や戦陣の様相は、観る者を瞬時に紀元前の中国へと誘います。法による統治を追求し、孤独の中で天下統一という未踏の地を目指す王の苦悩と決意は、現代に生きる我々の胸をも熱く焦がすことでしょう。
段奕宏が演じる呂不韋の老獪な立ち回りと、張魯一が体現する若き王の凄絶な変遷は、静かな火花を散らすような緊張感に満ちています。国家という巨大な装置を動かす知略と犠牲、そして未来へのビジョンが凝縮された本作は、映像という枠を超えて歴史の鼓動そのものを体感させてくれる真の歴史巨編です。