本作の真髄は、高度経済成長の象徴である新幹線という動く密室を舞台に、人間の情愛と正義が激突する鮮烈なドラマ性にあります。主演の西郷輝彦が放つ圧倒的な熱量と、坂口良子が醸し出す情感、藤巻潤の重厚な存在感が三位一体となり、限られた空間で濃密な人間模様を見事に描き出しています。
超特急のスピード感とは対照的に、一歩引いた視点で描かれる公安官たちの誇り高き職人魂こそが、本作に深い気品を与えています。ハイテクな舞台装置の裏にある泥臭いまでの人間味は、時代を超えて観る者の胸を熱くさせ、平穏な日常を守り抜くという崇高な使命感を私たちに再認識させてくれるのです。