本作の魅力は、1940年代スペインを舞台にした絢爛豪華なビジュアルと、軽快なスクリューボール・コメディの融合にあります。ジャン・レノ演じる冷静な執事と、好奇心旺盛な令嬢が織りなす凸凹コンビの掛け合いは、単なるバディものに留まらない気品とユーモアを放っています。時代考証に基づいた美しい衣装や美術が、サスペンスの緊張感に見事な華を添えています。
物語の根底には、当時の抑圧的な女性像を打破していく解放のエネルギーが流れています。ジャン・レノの重厚な演技が作品に奥行きを与え、謎解きを通じて「自分らしく生きる」尊さを鮮烈に提示します。クラシックな様式美と現代的な情熱が共鳴する、観る者の知性と感性を同時に刺激する極上のエンターテインメントとして必見の一作です。