本作は、幕府安泰という大義の裏で泥を啜り闇を引き受ける柳生一族の宿命を、冷徹かつ壮大なスケールで描いた時代劇の白眉です。山村聰ら名優たちの凄まじい眼光と静謐な佇まいは、組織のために個を殺す者の非情なプロフェッリズムを体現しており、見る者の魂を激しく揺さぶります。
重厚な映像美が虚実入り乱れる政争の緊張感を極限まで高めています。守るべき正義が時として最大の悪を孕むという逆説的なテーマは、単なる勧善懲悪を超え、現代にも通じる普遍的な問いを投げかけます。研ぎ澄まされた剣気と情念が交錯する、映像芸術の極致と呼ぶにふさわしい逸品です。