本作の真の魅力は、爆発という衝撃的な事件を起点に、本来交わるはずのなかった人々が残酷な運命の糸で結ばれていく「人間模様の極限状態」を鮮烈に描き出している点にあります。セルゲイ・ジャルコフをはじめとする実力派俳優陣の、抑制された、それでいて魂を揺さぶるような熱演は、静謐な緊迫感とともに観る者の心臓を掴んで離しません。
単なる犯罪ドラマの枠を超え、不条理な喪失からいかに立ち上がり、あるいは闇に呑まれていくのかという深遠なテーマが、研ぎ澄まされた映像美とともに突きつけられます。絶望の淵で交錯する彼らの執念と葛藤は、映像という媒体だからこそ表現し得た生々しい質感を持っており、鑑賞後も消えない深い余韻を残す傑作といえるでしょう。