エジプトの至宝と言える本作は、アレクサンドリアという都市の多層的な魅力を鮮烈に描き出した傑作です。東西文化が混ざり合う空気感の中で、自己のルーツを模索する葛藤がこれほど優雅に表現された作品は他にありません。地中海の光を湛えた映像美は、観る者を一瞬で時代の渦中へと誘います。
主演のヤヒヤ・エル・ファハラーニーによる、繊細かつ力強い演技は圧巻です。異国の血と自国の矜持の間で揺れる心の機微を、彼は静かな眼差しで体現しています。俳優陣の火花散る応酬は歴史劇の枠を超え、何者であるかという普遍的な問いを突きつけ、私たちの魂を激しく揺さぶるのです。