フランス三部作の中で最も冷徹かつユーモラスな本作は、平等という理想を愛の復讐劇へと昇華させた異色作です。主人公の転落と再起を演じたズビグニェフ・ザマホフスキの、惨めさと冷酷さが同居する演技は圧巻。画面を支配する白の色彩設計は、純潔ではなくむしろ空白や虚無を暗示し、観る者の心を鋭くざわつかせます。
ジュリー・デルピーの謎めいた美しさは、愛の不条理性を見事に象徴しています。相手と同じ地平に立つために、あえて奈落へ引きずり込むという逆説的な平等の形。それは人間の執念と孤独を描き切った、キェシロフスキ監督による究極の人間ドキュメントでもあります。予測不能な展開の先に待つ愛の結末を、ぜひその目で目撃してください。