1950年代のスペインで、帰郷した青年と彼が連れてきたメキシコ人男性バレエダンサーとの関係を危惧する保守的な社会が、痛ましい出来事を引き起こす。
1950年代のスペインを舞台にした本作は、伝統という名の鎖が人間の本性をいかに歪め、静かな家庭を戦場へと変えていくかを冷徹に描き出しています。マノーロ・カロ監督が追求する様式美と、フランコ政権下の息苦しいまでの保守性が完璧に融合し、洗練された映像美の裏側に潜むドロドロとした欲望や偏見を鮮烈に浮かび上がらせています。 名優カルメン・マウラやセシリア・スアレスらが魅せる、視線一つで空気を凍らせる圧倒的な演技力は圧巻です。抑圧された社会の中で「何が正しく、誰が死ななければならないのか」という倫理の境界線を観客に突きつけ、現代にも通じる排他性の恐怖を問いかけます。豪華絢爛な美術に隠された残酷な真実が、観る者の心に深い爪痕を残す衝撃作です。
監督・制作: Manolo Caro
制作会社: Woo Films / Noc Noc Cinema