本作の真髄は、内向的な日常を壊す長瀞さんの「愛ある挑発」にあります。上坂すみれの変幻自在な演技が、ドSな態度の裏に潜む情愛を鮮烈に描き出し、山下大輝演じるセンパイの繊細な反応と見事な化学反応を起こしています。他者との距離を測りかねる思春期の機微を、音と色彩で情熱的に表現した演出は圧巻です。
歪に見えて実は純粋なコミュニケーションの極致。相手の懐に踏み込む勇気がもたらす成長と、彩られていく二人の世界には、青春特有の眩さが宿っています。予測不能な彼女に翻弄される快感は、鑑賞者の心に眠る瑞々しい衝動を呼び覚ますことでしょう。