本作の真髄は、七〇年代から八〇年代のニューヨークを文字通り「所有」していたマフィアの支配構造を、当事者たちの口から語られる言葉の重みによって解体していく過程にあります。実際の傍受音声が持つ不気味なほどのリアリティと、かつての組織幹部や捜査官たちの鋭い眼光。それらが交錯する瞬間、視聴者は単なるドキュメンタリーを超えた、剥き出しの権力闘争の目撃者となるのです。
特に見事なのは、組織犯罪対策法(RICO法)という法的武器の誕生と、それを駆使した包囲網の構築を、スリリングな知略の衝突として描き出した点です。正義と悪の境界線が揺らぐ混沌とした時代の中で、一つの巨大な帝国が崩壊していく様を冷徹かつドラマチックに捉えた演出は、現実が持つ凄みを最大限に引き出しており、観る者の魂を激しく揺さぶります。