あらすじ
上京してきたばかりのシンは、知り合った仲間たちと自主映画を作ることになり、メンバーの妙子を通して、友人の美津子を狙う詐欺師・村田丈の存在を知る。村田は見た目は明るく魅力的だが、巧みな話術と大胆な行動で他者の心を操る冷酷な人物。
映画は村田をモデルに彼の罪を暴こうとするが、シン達は逆に村田のペースに乗せられ、予想もつかない惨劇が始まってしまう。シンと美津子を連れて逃げ延びた村田は、美津子の家族を巧みに洗脳し金を奪い、被害者を互いに殺し合わせるのだった。
作品考察・見どころ
園子温監督が放つ剥き出しの狂気と、人間の深淵に潜む毒々しい情愛が、観る者の倫理観を根底から揺さぶります。特筆すべきは椎名桔平の怪演です。圧倒的なカリスマ性と背筋が凍るような虚無を併せ持つ詐欺師という難役を、これ以上ない説得力で体現し、観客を抗えない共犯関係へと引きずり込みます。
本作の本質は、創作という名の暴力と救いを求める魂が織りなす悲劇的な喜劇にあります。映像美の中に散りばめられた血と絶望の鮮烈な対比は、まさに映像でしか到達できない官能的な領域です。愛を叫ぶほどに遠ざかる救済のドラマが、一度踏み込めば二度と戻れない魅惑の森へとあなたを誘うでしょう。