あらすじ
ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、すぐに見知らぬ他人であることを知った。何も思い出せないと打ち明けるリタ。手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…。
作品考察・見どころ
西部劇の黄金時代を象徴する本作は、単なる勧善懲悪の枠を超え、父と子の絆を核とした普遍的な人間愛を描き切った点に真の価値があります。厳格ながらも慈愛に満ちたローン・グリーンら名優たちが織りなす対話は、広大な風景以上に雄弁で、正義や家族という共同体の尊さを我々の魂に熱く訴えかけます。
特筆すべきは、社会問題や道徳的葛藤を真っ向から捉えた先見性のある脚本です。力ではなく、対話による調和を求めるドラマツルギーは、現代でも色褪せない輝きを放っています。映像の色彩美と俳優たちの重厚な演技が共鳴し、フロンティア・スピリットの理想像を体現した、テレビ史に刻まれるべき至高の人間ドラマです。