主人公を演じるベルナール・クロンベイの、軽妙かつ洗練された演技が圧巻です。彼が体現するアンテルム・コレは、知性と気品を武器に社会の虚飾を鮮やかに暴き出すトリックスターとして描かれています。次々とアイデンティティを乗り換えていく変幻自在な姿は、観る者にスリリングな興奮と、既存の秩序を笑い飛ばす爽快感を与えてくれます。
映像美に彩られた十九世紀の風俗描写と、皮肉の効いた演出が見事に融合し、人間という存在の滑稽さを浮き彫りにしています。地位や名声がどれほど脆いものであるかという鋭い洞察は、現代の観客の胸をも打ち抜くでしょう。エレガンスを失わない紳士的な盗賊の生き様は、真の自由とは何かを問いかける究極の人間賛歌へと昇華されています。