あらすじ
「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」……。
実話怪談として語られる危険な存在が出現する〈裏世界〉。そこは、現実と隣合わせで、謎だらけの世界。
紙越空魚(かみこし そらを)は廃屋内の扉から〈裏世界〉を発見し、そこで仁科鳥子(にしな とりこ)と出会う。この出会いが空魚の人生を一変させる。
鳥子は空魚に〈裏世界〉の探索の協力を依頼する。彼女は〈裏世界〉で行方不明になった「冴月」という女性を探していた。
探検と研究、そしてお金稼ぎのため、空魚は鳥子と行動をともにする。非日常へ足を踏み入れた二人は様々な怪異と遭遇し、危険なサバイバルが始まる。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、ネット怪談という不確かな恐怖を、孤独な二人の魂が共鳴し合う切実な人間ドラマへと昇華させた点にあります。視覚化された異世界の風景は、美しくも生理的な嫌悪感を呼び起こし、日常のすぐ隣に潜む深淵を鮮烈に描き出します。花守ゆみり、茅野愛衣ら実力派キャストの繊細な演技が、目に見えない世界の歪みをより生々しく、官能的なまでに際立たせています。
特筆すべきは、音響効果と独特の間を駆使した、五感に訴えかけるホラー演出です。説明を排した視覚的な違和感の積み重ねは、映像メディアだからこそ到達できた「言葉にできない不安」を見事に体現しています。単なるパニックホラーに留まらず、異界の湿り気の中で加速する二人の関係性の熱量に圧倒される、真に鋭利で挑戦的な映像体験といえるでしょう。