本作は、初期上海映画の黄金期を象徴する、息を呑むほど美しい視覚詩です。沈黙の中に宿る強烈な感情の奔流は、台詞を必要としない純粋な映画的表現に満ちています。特に夏佩珍が見せる繊細な眼差しと、時代の荒波に翻弄されながらも失われない気品ある佇まいは、観る者の魂に深く刻まれることでしょう。
タイトルの「香草」が象徴するように、高潔な精神を保つことの困難さとその尊さが、光と影のコントラストの中で鋭く描き出されます。近代化へ向かう社会の混沌と、その陰で揺れる個人の倫理観という不変のテーマは、現代を生きる我々にとっても強烈なメッセージを放ち、真の美しさとは何かを根源から問い直させてくれます。