この作品の真髄は、誰もが経験する「人生の間の悪さ」を、極上のポップセンスと切実な痛みで描き切った点にあります。運命のいたずらに翻弄される男女の機微を、洗練された映像美と緩急のついた演出で表現し、タイミングという残酷な要素がいかに人の感情を強く揺さぶるかを鋭く突きつけます。
主演二人が放つ瑞々しい化学反応は、観る者の記憶にある未完の恋を鮮烈に呼び覚まします。完璧な結末を急がず、もどかしさや喪失感さえも愛おしく感じさせる演技と、都会的な孤独を掬い上げる演出が見事です。愛とは感情の合致だけでなく、時の流れを受け入れる覚悟であるというメッセージが、鑑賞後の心に深く突き刺さります。