狂四郎が知り合った正義感の強い老人。彼は幕府の税制改革を進める勘定奉行で……。柴田錬三郎の大ヒット小説を市川雷蔵が演じたシリーズの第2作。これ以上ない狂四郎像を見事に打ち立てた。
市川雷蔵が虚無とエロスを纏った狂四郎を究めた記念碑的作品です。全編に漂う冷徹な美学と、孤独な魂が放つ凄絶な色気が観る者を圧倒します。円月殺法の静謐な迫力は、死を芸術へと昇華させるほどの完成度。雷蔵の鋭い眼差しと一瞬の静寂がもたらす緊張感は、まさに映像でしか表現し得ない孤高の領域といえます。 光と影を巧みに操る陰影美は、闇に生きる男の悲哀を象徴しています。残酷さと表裏一体の耽美的な世界観は、一人の男の生き様を「死の舞踏」として描き出しました。この作品が放つ退廃的な魅力と圧倒的な芸術性こそ、今なお我々を虜にし続ける本質的な輝きにほかなりません。
監督: 三隅研次
脚本: 星川清司 / 柴田錬三郎
音楽: 斎藤一郎
撮影監督: 牧浦地志
制作会社: Daiei Film