あらすじ
捜査一課で現場一筋の警部補・成瀬司(阿部寛)は、犯人逮捕のためには手段を選ばない鬼刑事で部下にも厳しく、捜査を理由に一人娘・法子(見上愛)との約束も破ってしまうような仕事人間だった。高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が次々に発生する中、疑わしい人物を令状もなく捜査するといった強引な行動により、彼は上司から異動を命じられる。刑事部内での異動だろうと軽く考える司だったが、異動先は広報課の「音楽隊」だった。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、コミカルな設定の裏に潜む大人の再生を泥臭く描いた情熱にあります。内田英治監督は、効率主義で心を擦り減らした現代人の姿を、阿部寛の圧倒的な存在感を通して鮮烈に提示しました。不協和音だらけの人生が、音楽という新たな言語を得て調和していく様は、観る者の心を解きほぐす深い慈愛に満ちています。
圧巻なのは、吹替なしで挑んだキャスト陣による演奏の熱量です。言葉を超えた音の対話が、行き場を失った魂を救済していく過程は、映像でしか成し得ないカタルシスを放っています。変化を余儀なくされたすべての人へ、本作は「まだ人生は鳴り止んでいない」という力強いエールを送り、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるでしょう。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。