喜劇王フェルナンデルの遺作となった本作は、彼のキャリアの集大成と言える静謐な輝きを放っています。長年親しまれた滑稽な表情の裏に、老いゆく者の哀愁と生の尊厳を滲ませる演技は圧巻です。プロヴァンスの光溢れる風景の中で描かれるのは、単なる喜劇の枠を超え、魂の自由を希求する切実な祈りのような物語です。
老馬との無言の交流は言葉を超えた絆を象徴し、文明の波に抗い信念を貫く孤独な歩みが、観る者に真の幸福を問いかけます。アンリ・コルピ監督による詩的な演出は、人生という旅路の終着点にある清々しい解放感を見事に昇華させており、一人の俳優が銀幕に残した最後の慈愛に満ちた眼差しに、深い感動を覚えざるを得ません。