モンゴルの街並みと、色彩豊かなインテリアの対比が鮮烈な、最高にチャーミングな成長物語です。本作の真髄は、未知の扉を開くことで少女の視界がいかに鮮やかに塗り替わっていくかという、知的な喜びと自己解放にあります。タブーを好奇心に変え、他者との対話を通じて己の輪郭を形作っていく姿は、観る者の心を力強く鼓舞します。
主演のバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルの、戸惑いから確信へと移ろう繊細な演技が物語に圧倒的な説得力を与えています。特に、世代の異なる女性二人が音楽を介して育む、言葉を超えた連帯感は白眉です。固定観念を脱ぎ捨て、自分自身の感性で世界を定義し直すことの自由さを、類まれな映像センスで描き出した珠玉の一本です。