この作品は、閉塞感の中で剥き出しになる人間の残酷さと、愛の欠乏がもたらす悲劇を冷徹な視線で抉り出しています。特筆すべきはマリー=クリスティーヌ・バローの鬼気迫る演技です。彼女が体現する、自身の不遇を子供への嫌悪へ転嫁する母親の歪んだエゴイズムは、観る者の心に消えない棘を残します。静謐な映像美が、救いのない孤独をより鮮明に際立たせています。
物語の核にあるのは、真の「怪物」とは誰かという痛烈な問いかけです。周囲の無理解に晒される少年の眼差しは、観客に倫理観の欠如を突きつけ、静かな衝撃を与えます。抑制された演出がかえって剥き出しの感情を増幅させ、映像の端々に言葉にならない悲哀を宿らせる手腕は見事です。人間の心の深淵を覗き込むような、容赦のない傑作ドラマと言えるでしょう。