ロウ・イエ監督特有の揺れ動く手持ちカメラが、パリの街角でぶつかり合う男女の生々しい熱量を、これ以上ないほど親密な距離感で描き出しています。愛という名の暴力性、あるいは自己破壊的な情熱が肌の質感からダイレクトに伝わり、観る者の倫理観を激しく揺さぶるような生々しい官能性こそが本作の真骨頂といえるでしょう。
タハール・ラヒムが体現する野性的で不安定な孤独と、それを受け止める女性の魂の叫びが、言葉を超えた身体的な対話を通じて鮮烈に響き渡ります。単なるロマンスの枠を超え、互いの痛みを通じてしか己の実存を確認できない切実な魂の記録として、本作は私たちの心の奥底に眠る「剥き出しの渇望」を鋭く突き刺してくるのです。