本作の最大の魅力は、予期せぬ不運が連鎖的に加速していく、最悪のピタゴラスイッチのような絶妙な構成にあります。主演のラファエル・ロガムらが見せる、極限状態での滑稽なまでのあがきは、観る者の笑いと緊張感を同時に刺激します。暴力的な状況をあえて軽妙なユーモアで包み込む演出が、アクションとしてのキレをより一層際立たせているのです。
日常が瞬時に非日常へと変貌する不条理さの中で、人間の根源的な欲求や友情の脆さが浮き彫りになる点も実に見事です。追い詰められた人間が剥き出しにする、なりふり構わぬ生命力。その生々しさが、ジャンルの枠を超えた普遍的な面白さを生み出しています。一瞬の判断が命取りになるスリルと、それを笑い飛ばす強烈なエネルギーに満ちた一作です。