本作の魅力は、日常に潜む狂気を生理的な嫌悪感と幻想美で描く映像センスにあります。閉鎖空間での演出は観る者の平衡感覚を奪い、恐怖を超えた陶酔をもたらします。村田則子らキャストが魅せる極限の演技は、人間の剥き出しの業を鮮烈に浮き彫りにしています。
問いかけるのは、聖域であるはずの家の脆さです。住空間が異界へ変貌する様は、現代人の孤独や欲望の具現化に他なりません。画面から溢れる不安は鑑賞後も脳裏にこびりつき、見慣れた景色を異質に変貌させる力を持っています。視覚体験の限界に挑む本作は、悪夢のような至福を約束する一作です。