イタリア、ヴェローナを舞台にした本作の真髄は、運命という名の「予定不調和」を慈しむ姿勢にあります。完璧な計画が崩れ去った先にこそ真実の愛が芽生えるという普遍的なテーマが、歴史ある石畳の街並みや芳醇なワインの香りと共に、極上の色彩感覚で鮮やかに描き出されています。
カット・グレアムの弾けるような表情と、トム・ホッパーの不器用な誠実さが、最悪の出会いから生まれる火花を見事に体現しています。互いの弱さを認め、既存の価値観を壊し合う二人の姿は、予定通りにいかない人生こそが最高にエキサイティングでロマンティックであることを、観る者の心に情熱的に語りかけてくるのです。