季節が狂い、夏の中に冬が潜り込んだかのような不条理な世界観。この作品の真髄は、異常気象という舞台装置を借りて、現代人が抱える心の不協和音を映像化した点にあります。ベンジャマン・ビオレの憂いを帯びた色気と、エロディ・ブシェーズの魂を揺さぶる熱演が重なり合い、冷ややかな空調の下で火照る皮膚のような、官能的でヒリついた緊張感を見事に生み出しています。
ラエティシア・マッソン監督が映し出すのは、環境の崩壊と呼応するように揺らぐ、愛と再生の物語です。静謐ながらも力強いカメラワークが、行き場を失った孤独や渇望を美しく救い上げていきます。予期せぬ変容を遂げる世界に身を置きながらも、それでも繋がりを求める人間の根源的な生命力に、私たちは激しく胸を打たれるでしょう。