17世紀の長崎。キリシタン弾圧が激化する中、2人のポルトガル人宣教師が秘かに来日する。 20年前に渡来した恩師の行方を捜すためである。 キチジローに案内され隠れキリシタンの村にかくまわれるが、金のため役人に密告されてしまう…。
篠田正浩監督が放つ本作は、神の沈黙という深遠なテーマを、日本の風土が持つ美学で描き出した衝撃作です。司祭の苦悩は単なる宗教的葛藤を超え、自己が異文化に侵食される恐怖を突きつけます。全編に漂う緊張感とキチジローの醜い人間味は、観る者の倫理観を激しく揺さぶり、魂の深淵へと誘います。 遠藤周作の原作が内省的な魂の彷徨を描くのに対し、映画は日本の泥沼という閉塞感を強調し、信仰が風化する過程を具現化しました。活字での思索を、肉体の痛みや土の匂いという圧倒的な質感へ変換した演出が見事です。映像ならではの静寂が、言葉以上に雄弁に真実を語り、観客の心に消えない傷跡を刻み込みます。
監督: 篠田正浩
脚本: 篠田正浩 / 遠藤周作
音楽: 武満徹
制作: 野々村潔 / 葛井欣士郎 / Tadasuke Ômura
撮影監督: 宮川一夫
制作会社: Hyogensha-Mako International