本作の真骨頂は、冠婚葬祭という日本の伝統的儀式に潜む滑稽さと、そこに翻弄される人間の業を鮮やかに描き出した点にあります。お祝いとお悔やみが交差する混沌とした状況を、皮肉たっぷりのユーモアで昇華させる演出は見事というほかありません。形式美を重んじるがゆえに露呈する人々の本音と建前が、観る者の笑いと共感を誘います。
橋爪功と吉行和子の円熟した演技が、単なるドタバタ劇に留まらない深い人間ドラマの厚みをもたらしています。言葉にできない家族の絆や死生観が、絶妙な間合いと表情から滲み出し、観客の胸に鋭く突き刺さるのです。理不尽な状況を笑い飛ばし、人生の不確かささえも愛おしく感じさせる、大人のための極上のエンターテインメントと言えるでしょう。