閉鎖された空間で交錯する孤独と滑稽さを、これほど生々しく切り取った作品は稀有です。ラブホテルという一過性の情愛が渦巻く場所を舞台に、人間の奥底に眠る承認欲求ややるせなさが、濃密な空気感とともに描き出されています。単なる艶情を越え、都会の片隅で震える魂の叫びを掬い上げる演出が実に見事です。
若き日の阿部サダヲや温水洋一が見せる、危うさと滑稽さが同居した怪演は必見です。神乃毬絵の儚げな佇まいが彼らの感情と衝突し、心地よい緊張感を生んでいます。一筋縄ではいかない人間模様を通じて愛の渇望を突きつける本作は、観る者の心に消えない残響を残す、至高の映像詩と言えるでしょう。