あらすじ
プラモデルオタクのレイ(アレックス・ハウス)、引きこもりピアニストの兄モーリー(デヴィッド・レンドル)、エアギターで自己実現のアイデンティティーを保っている大学生の妹リサ(タチアナ・マズラニー)の三兄弟は、人生は退屈の繰り返しに耐えることだと信じて疑わなかった。しかし、生前母親が日本から呼んだばーちゃん(もたいまさこ)との日々を過ごす中で、三兄弟の心に少しずつ変化が起こり始める。
作品考察・見どころ
荻上直子監督が描く本作の真髄は、言葉を超えたコミュニケーションの可能性にあります。もたいまさこ演じる祖母の圧倒的な沈黙は、雄弁な台詞よりも深く、バラバラだった三兄妹の心を溶かしていきます。生活の一部である「トイレ」という極めて個人的な空間を、再生と浄化の聖域として捉え直す独創的な視点は、観る者の日常を鮮やかに彩る魔法のような力を持っています。
原作小説も監督自らが手がけていますが、映像版ではカナダの乾いた空気感や生活音の響きが、物語に豊かな情緒を与えています。文字では表現しきれない「空気の揺らぎ」や、俳優たちの繊細な表情の変化が、家族という不確かな繋がりを確かな温もりへと変えていく過程は、映像というメディアだからこそ到達できた至高の表現と言えるでしょう。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。