老人ホームを舞台にしながら、本作が放つエネルギーは驚くほどパンキッシュで鮮烈です。老いを衰退ではなく、抑圧からの解放と魂の再出発として描く視点が秀逸。ヤン・ヨーゼフ・リーファースが音楽を通じて静寂を打ち破り、人々の生への欲望を呼び覚ます演出には、抗いがたい熱量が宿っています。
ベテラン俳優陣のユーモア溢れるアンサンブルも見逃せません。音楽が肉体の限界を超え、人生の晩年を最高潮のステージへと変貌させる。そんな「今」を全力で肯定するメッセージは、観る者すべての心に不滅の火を灯し、明日への活力を与えてくれるでしょう。