ファウスト・ブリッツィ監督が放つ本作の本質は、長年連れ添った夫婦が抱える情熱の減退という切実なテーマを、極上の笑いへと昇華させた点にあります。ファビオ・デ・ルイージとクラウディア・ジェリーニが見せる絶妙な掛け合いは、慣れ合いの中で見失った互いへの欲望を再発見する過程を、時に滑稽に、時に痛烈なリアリティをもって鮮やかに描き出しています。
特筆すべきは、フィリッポ・ティーミ演じる奔放な存在がもたらす破壊的エネルギーです。彼が停滞した日常に風穴を開ける演出は、真の親密さとは恥じらいの先にある心の解放であることを教えてくれます。人生の酸いも甘いも知る大人たちへ贈る、愛の本質を軽やかに問う洗練された人間賛歌をぜひ堪能してください。