本作が描き出すのは、伝説的クリエイターの足跡以上に、一人の人間が持つ想像力の熱量そのものです。スタン・リーがヒーローに吹き込んだのは、無敵の力ではなく、私たちと同じ葛藤や孤独という人間性でした。その哲学が世界を熱狂させる文化へ昇華された軌跡を、膨大なアーカイブと本人の肉声を通じて鮮烈に浮き彫りにしています。
ショーン・アスティンの語りに導かれ、最愛の妻ジョアンとの深い絆や名声の裏にある飽くなき挑戦心が明かされる様は圧巻です。言葉の力を信じ抜いた男の生き様は、観る者の魂を激しく揺さぶります。鑑賞後、誰もが自らの内にある可能性を信じたくなるような、情熱に満ちたドキュメンタリーの極致といえるでしょう。