エリック・ロメール初期の傑作である本作は、若者の残酷な無頓着さと、言葉の裏に潜む卑小な自尊心を鮮烈に描き出しています。白黒の映像が捉えるパリの日常は淡々としていますが、そこには人間の心理をえぐるような緊張感が漲っています。視線の交錯や会話の端々に若さゆえの傲慢さが透けて見える演出は、観る者の倫理観を静かに揺さぶり続けます。
特筆すべきは、タイトルの「経歴」が持つ皮肉と、スザンヌの凛とした佇まいです。彼女を軽んじる男たちが、実は自らの虚栄心に縛られているという逆説的な構図が実に見事です。他者の価値を勝手に決めつける行為の空虚さを暴き出し、最後には清々しい解放感へと導く構成は、ロメールが描く道徳の本質を鋭く突いており、観る者の心を掴んで離しません。