タナダユキ監督の瑞々しい感性が光る本作は、創作という虚構と生々しい現実が交差する瞬間の火花を、純粋に捉えています。エロティックな物語を綴るヒロインが、記号化された性愛と生身の体温との乖離に揺れる様は、滑稽でありながらも切実さに満ちており、表現することの業を痛烈に描き出しています。
江口のりこの圧倒的な存在感が、作品に比類なき説得力を与えています。彼女が体現する「書くことへの執念」と「愛への渇望」は、観る者の孤独を静かに揺さぶるでしょう。予定調和を拒むリアルな演出が、言葉にならない心の機微を映像として浮き彫りにし、鑑賞者の魂を激しく震わせる傑作です。