本作の最大の魅力は、日本独自の美意識である襦袢の白さが際立たせる、静謐ながらも狂おしいほどの色香にあります。影を効果的に配したライティングが、肌の質感や細やかな吐息を克明に捉え、言葉以上に雄弁な視覚的官能を構築しています。静寂の中に漂う喪失感と、それと対峙するように溢れ出す生命の躍動が、純度の高い映像美として見事に昇華されています。
主演の桜沢菜々子が体現する未亡人の孤独と、心の奥底で疼く情動の機微は見事と言うほかありません。佐倉萌やなかみつせいじとの実力派の競演が、閉塞感漂う人間関係に鋭い緊張感をもたらしています。抑制された日常から欲望が解放される瞬間のカタルシスを、息を呑むような湿度を持って描き切った、大人のための情愛の極北です。