本作の魅力は、生命の循環を「月」と「海」というモチーフで捉え直した、詩的な映像美にあります。作為を排し、黙々と続く自然の営みを切り取った映像は、観る者の深層心理に語りかけ、太古から続く命の鼓動を伝えてくれます。それは単なる記録を超え、宇宙の摂理と私たちが繋がっていることを再認識させる、祈りのような体験です。
大宮悌二氏による温かな語りは、作品に深い慈愛を吹き込んでいます。過酷な生存競争の中にある「生」の尊さを代弁するその声は、私たちが忘れかけていた自然への畏怖を呼び覚まします。海へと還る命の輝きは観る者の魂を震わせ、今を生きることの意味を鮮烈に問いかけてくる珠玉のドキュメンタリーです。