手塚治虫が設立した虫プロダクションの第一回作品であり、言葉を一切排した映像詩としての純粋な美しさが本作最大の魅力です。街角に貼られたポスターや街灯といった無機質な存在が、色彩豊かなアニメーションと情感溢れる音楽によって命を吹き込まれる様は、観る者の想像力を激しく揺さぶります。動く絵画とも呼ぶべき芸術性の高さは、公開から時を経た今なお、視覚体験として鮮烈な輝きを放っています。
表現の根底に流れるのは、日常を切り裂く戦争の狂気への静かな怒りと、絶望の淵でもなお再生しようとする生命の逞しさです。華やかな街並みが一瞬にして戦火に包まれる対比は、台詞がないからこそ、音楽と動きが魂に直接訴えかけ、普遍的な平和への祈りを私たちに突きつけます。アニメーションという表現手段が持つ無限の可能性を証明した、至高の芸術作品と言えるでしょう。