増村保造監督による、剥き出しの欲望と冷徹な計算が交錯する映像美が圧巻です。善悪の彼岸を超えた男たちが知略を尽くし、互いを陥れようとする様は観る者の倫理観を激しく揺さぶります。画面から溢れ出す濃密なエロティシズムと緊張感は、当時の日本映画が持っていた野心的な熱量を凝縮しています。
田宮二郎の冷酷かつ優雅な悪の造形と、佐藤慶の不気味な存在感、そして緑魔子の妖艶さが、人間の業を煮詰めた三つ巴の心理戦を極限まで高めています。己の野望のみを信じて突き進む「悪」の美学を徹底して描き切った、戦慄すべき人間ドラマの極致と言えるでしょう。