あらすじ
戦時下の昭和19年に富山に疎開した東京の少年と地元の少年の友情と葛藤を描いたドラマ。柏原兵三の小説を藤子不二雄Aが漫画化、これを篠田正浩監督が映画化した。昭和19年10月、戦局が悪化の一途を辿る中、東京の小学5年生だった風間進二は、富山に縁故疎開することになった。ひ弱な優等生タイプの進二は学校ではよそ者扱いを受ける。そんな進二にガキ大将の武が近づいてきた。徐々に打ち解ける二人だったが、権力を誇示する武は学校では進二に冷たく接するのだった……。
作品考察・見どころ
篠田正浩監督が切り取った本作の神髄は、単なる郷愁を超えた子供たちの世界の冷徹な政治学にあります。疎開先で繰り広げられる少年たちの権力闘争と、その裏側にある脆い友情が、富山の美しい田園風景の中で残酷なほど鮮烈に描かれています。観る者は、かつて誰もが経験したはずの、胸を締め付けるようなヒリヒリとした感情を呼び起こされるはずです。
特筆すべきは、井上陽水の主題歌がもたらす圧倒的な叙情性と、主演の少年たちが放つ嘘のない輝きです。去りゆく季節の中で少年が大人へと脱皮する一瞬を、映像美が見事に封じ込めています。これは、単なる美化された思い出ではなく、痛みさえも愛おしく感じさせる、全世代の心に深く刺さる青春映画の金字塔と言えるでしょう。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。