あらすじ
2017年、ダ・ヴィンチの幻の傑作とされる絵画〈サルバトール・ムンディ〉が、競売で4億5千万ドルで落札され、世界中で一躍話題に。しかし、もともとこの絵は、ある美術商がわずか1175ドルで入手した後、大幅な修復作業や専門家たちの玉虫色の鑑定を経て、ダ・ヴィンチの傑作としてのお墨付きを得、天文学的な高値に跳ね上がったもの。この絵はその後、さらに数奇な運命をたどることに。この絵に群がる人々の欲得まみれの暗躍の数々を当時者たちの証言も交えて赤裸々に描き、刺激満点の必見作に仕上がった。
作品考察・見どころ
本作は美術ドキュメンタリーの枠を超え、欲望と権力が渦巻く現代社会の歪みを暴き出す極上のミステリーです。一枚の絵画が史上最高額へと跳ね上がる狂騒の中で、専門家たちの自尊心や国家の思惑が剥き出しになる様は、背筋が凍るほどの緊張感に満ちています。真実の境界線が曖昧になる過程は、私たちが信じる「価値」の危うさを鋭く突きつけてきます。
修復士の繊細な筆致と資本の論理が交錯する演出は、映画ならではの重厚な没入感を生んでいます。純粋な情熱が巨大な闇に飲み込まれていくダイナミズムは、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。微笑みの裏に潜む真実とは何か。その正体を見極めるため、スクリーンの前で翻弄される悦びをぜひ体感してください。