アニー・ジラルドの放つ圧倒的なエネルギーが本作の核心です。家庭に収まりきらない女性の自立を、彼女は軽妙なコメディの中で驚くほど真実味を持って体現しています。自己を再発見する過程で見せる微細な表情の変化は、観る者の魂を揺さぶり、一人の人間としての尊厳を鮮烈に描き出します。
社会風刺を孕みつつも説教臭くならない演出が絶妙です。ピエール・モンディとの小気味よい掛け合いは日常の機微を切り取り、人生の主役は自分自身であることを肯定します。自分を解き放つ勇気を、色彩豊かな映像美と共に謳い上げた、大人のための珠玉の人間讃歌といえるでしょう。