ジャン=ポール・ベルモンドが放つ、抗いがたい躍動感と軽妙な色気が本作の核です。彼が体現する「愛すべきペテン師」の美学は、既存の道徳に縛られない自由への賛歌。どんな窮地もエレガントに笑い飛ばす姿には、単なるコメディを超えた人生の哲学が宿り、観る者の心を一気に解放してくれます。
フィリップ・ノワレら名優との掛け合いは、虚飾に満ちた社会を鮮やかに嘲笑う知的な愉悦に満ちています。刹那的な享楽の裏に漂う哀愁と、それでも前を向く人間のたくましさ。一瞬一瞬を贅沢に生き抜く魂の輝きが、洒脱な映像美とともに迫りくる、至高のエンターテインメントと言えるでしょう。